「こえを だして ほんを よむ 会」は、本を上手に読んで聴かせることを目的にしている会ではありません。
本を声に出して読んでみることによって、自分がどれだけその文章を理解しているかを知って、更に理解を深めていくことを目的にしています。
目で読んでいるときには、適当に読みとばすことができても、声に出そうと思うとそうはいかないことに気づきます。
まず、読めない文字は調べて正確に読めなければ、そこで止まってしまいます。
それから、意味のわからない単語は、そのことばの意味を調べて納得しないと、そのことばに魂をいれて声にすることはできません。
声を出して本を読むとは、その文章に魂を吹きこんで、眠っている文章を起こしてやることです。
自分で気持ちよくすうっと読めないところ、立ち往生してしまうところは、まだ自分なりに理解していない箇所であることに気付くでしょう。
声を出して本を読むことは、単語に音を与えることではありません。「自分の声」で読むのです。
「こえを だして ほんを よむ 会」では、自分で読んで自分で聴くだけでなく、自分以外の人に聴いてもらうこと、
また、他の人が読むのを聴かせてもらうことも大切にします。他の人が読むのを聴くことによって、
自分とその人との読みとり方のちがいに気がつくからです。そのことによって、互いの読みが一層深められます。
この会では、その性質上、標準語のアクセントに統一して読むということはしません。
一人一人が自分の個性で自分の親しんでいるアクセントで、好きなようにのびのびと読むことを原則にしています。
この掲示板の小さなスペースを飾る「言の葉」が、どんな声にのって起きあがっていくか楽しみにしています。
1987年6月13日
新しい掲示板によせて
こえを だしてほんをよむ会
(かなもりじゅんこ)
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